2008年10月アーカイブ

前回2つともとっても抽象的なエントリで不評でしたので、反省してもうちょっと近況を報告します。

今週水曜日に、弊社プロダクトでも利用している「Ext JS」というJavaScriptライブラリの開発者コミュニティへのセミナーに参加してきました。このExt JSですが、最近日本法人が立ち上げられたこともあり、積極的にコミュニティ活動を行っているようです。個人的にもいろいろご縁があり、代表の直鳥さん小山さん(ゴーガの代表)とは親しくさせていただいており、一度勉強会に講演者として参加させていただいたこともあります。なお、日本のExt JSのホームページには弊社の名前がすでに事例としてあがっていいます

じつは今回参加したのは実際にExt JSを勉強しにいったのかというとそうでもなく、基本ミッションは「技術者のリクルーティング」にあります。弊社の製品はどちらかというとまだマイナーなテクノロジーの塊であるため、単純に「PHPが書ける人」「Railsできる人」などと違って、ちゃんとコミュニティからアプローチしないとなかなかフィットしないものです。特にExt JSは今の製品の中でもかなり重要な位置を占めていますので、こちらの開発に興味のある方はぜひ冨田にコンタクトとってください。

ちなみに今回のセミナーの皮切りは、サイボウズラボの天野さん(amachang)のJavaScript高速化に関するお話でした。amachangとは、昨年の未踏ソフトウェアで畑PMにお世話になっていたときにラボにちょくちょく遊びにいかせてもらっており、JavaScript周りのことを色々と相談してたりしたのですが、起業して以来ちょっとご無沙汰になっていたので、ひさしぶりに会えて深いお話できたことに感謝しています。JavaScript界に対しては弊社もビジネス化をメインに貢献できればとおもっていますので、ひきつづき応援よろしくおねがいします。

さて、ゼノフィ小堤さんや直鳥さんは来週からフロリダでExt JSの研修だそうですが、実はわたしも来週に渡米します。こちらは西海岸、サンフランシスコですが。salesforce.com のイベントでDreamforceというイベントになります。日本からも多数の方が参加すると聞いていますが、弊社は一応「Afrous Dashboard for Salesforce」を出展するために参加します。

そう、実はグローバルデビューなんですよ。日本でもまだぴよぴよなのにね。詳しい内容についてはまたご報告できればと思っています。では。

自分は元々企業系のソフトウェアベンダーにいたこともあり、考え方は若干エンタープライズ寄りなのだとは思いますが、ただ、がちがちにそうというよりは、単に今までの思考方法として慣れているだけ、というくらいのものです。10年弱くらい同じ業界にいましたが、後半はかなり不真面目(いわゆる企業戦士という意味では)であったので、その間ずっと泥のようになっていた方たちから見たらまったく経験不足に見えるかもしれません。

ではなぜ不真面目になったかというと、それは不幸にして会社の中で得る知識よりも外側(Web)で獲得できる情報の方が有用だと感じるようになってしまったからで、しょっちゅうWebサイトのクロールばかりしていました。もちろん、自分が准研究開発員的な立場であること(≒コストセンター)は自覚していたので、ちゃんと「その会社にいる自分」というアイデンティティの元に活動していたわけですが。

ともかく、そういう立場からWebを眺めていると、当時いたエンタープライズの世界とその外側のWebの世界(この分け方も異論がありそうだけどとりあえず)の互いの特質というのがそれなりに見えてきます。これはなかなか他の人にはない、よい経験でなかったかと今でも思っています。

あくまで自分自身の偏った結論だということを予めお断りしますが、個人的に、Webが圧倒的に優れているところは、そのスピードではないか、と思うのです。進化のスピード、単に流行の移り変わりかもしれないですが、とにかく変わる。そして頻繁に変わることが許されるほどデリバリのスピードが優れている。このスピード、軽さといっていいのかもしれないですけど、これはなかなかエンタープライズでは出てこない。

こういったスピードが重視されない分野、たとえば堅牢性が第一に求められているようなところ(基幹業務、金融とか)では、Webがエンタープライズに何をもたらすのかについて、まったくピンと来ないかもしれません。しかしエンタープライズ市場が堅牢性のみで生きているかというと決してそんなことはなく、敏捷性を重要視する業務も必ずあります。

まずそこにマッシュアップをはじめとするWebの革新的成果を当てはめる余地があると考えます。 今は、高コストモデルの脱却に伴う痛みに対しての恐怖もあってか、既存のエンタープライズ市場でのプレイヤーはそういうことにあまり執心していないように見えます。

例えばエンタープライズ畑の人間が、よくマッシュアップをSOAの一部として話すことが大変多いのですが(もちろんそれは間違ってないですが)、幾分トップダウン的で、マッシュアップに含まれているWebから生まれたボトムアップの革新の部分を若干軽視している気がしています。あえて穿った見方をすると、革新を認めていないのでは、あるいは気づいていないのではないかくらいまで考えてしまいます。

もう一度繰り返すと、Web的なものを形作っているものとは、変化流転のスピードであり、それをネイティブに許容できるデリバリのスピード&スケーラビリティ、そして低コスト構造であると考えます。これが一部でも今のエンタープライズの世界に持って来ることができないだろうか? というのが自分の最近の問題提起です。Webのスピードを企業システムにも。

タイトル、適当に並べているように見えます。ですが、つながりがあります。順に述べます。

クラウドコンピューティングを肯定し、懐疑する

まず、クラウドコンピューティング。先日NHKの「クローズアップ現代」でsalesforce.comがとりあげられていたようで、おかげでうちの母でも言葉は知るようになりました。まあ多分何なのかよく分かっていないと思いますが。

ただ、クラウドコンピューティングというものをSaaSの文脈だけから語ると、「ただのWebアプリのことをまたリブランディングしてる」という指摘をうけやすいので、あまりよろしくないかと思います。クラウドコンピューティングには仮想化技術であったりユーティリティコンピューティングであったりも関連しているので、それぞれ今までの立場が異なる人は、その人の今までの関心があった側面からクラウドコンピューティングの重要性を語っています。

おそらく、クラウドコンピューティングとはさまざまな人の期待が入った言葉なのでしょう。この点で「Web 2.0」と同様でありBuzz Wordの危険はありますが、さすがにもうちょっと共通したイメージはあります。いままで自分で抱えなければいけなかったいろんなものを、全部むこう側、雲のむこうに持っていけるんじゃないか、というものです。

これに関して、節目の技術トレンドが大体そうであるように、肯定的な人と懐疑的な人がいます。肯定的な人は、これはもう自然な流れであり、ほとんどのシステムがいずれそうなる(雲の上へ移行する)だろう、という意見でいます。逆に、懐疑的な人は、それはごく一部のもの(メールやスケジューラなど)だけであり、特に業務に密接に関連した重要かつ機密なシステムが移行することはあり得ない、と考えます。

大まかにわけてしまうと肯定派に属する自分ですが、懐疑派が言っていることもよくわかります。実際、技術者/プログラマの多くは懐疑派になることができます。これはおそらく、システムがブラックボックス化されることへの不安や、自分の管理下になくなることへの抵抗がそうさせるのかもしれません。ただこういった懐疑派であれば、よくできたクラウドコンピューティングシステムにおいてはさほど自由度が損なわれないこともあるのだ、ということを理解すれば、逆に一気に肯定派にまわる可能性もあるのではないかと思っています。

懐疑論のなかでもっとも説得力があるのがセキュリティの話です。実際冒頭に述べたNHKの番組でも、最後はその辺りへの疑問を呈する形で終わっていたようです。冷静に考えると、研究開発/製品設計等の機密データや、基幹業務取引データなどがクラウドコンピューティングに移行するのはまだまだ抵抗があってしかたないところです。もちろん、クラウドはむしろローカルでシステムを持つよりもセキュリティがしっかりしているのだ、という立場で話すこともできますが、たとえ心理的な不安のみであってもそれは十分に意を得ています。

最後に、ただただ、現実の話です。要は、クラウドへ移行するにはコストがかかる、ということです。今まで企業であれ個人であれ、ローカルコンピュータ、あるいはイントラネットにインストールして使われていたアプリケーションを、インターネット上のクラウドに移動するにはかなりの労力を有します。ただ単に、アプリケーションがクラウド上にあればいい、というわけではありません。データもそこに置いておかなければなりません。複雑な業務システムであればあるほど難しくなります。


というわけで、肯定派の自分も、やっぱり懐疑論はそれなりに正しいのだと思っています。

しかし、クラウドがまだまだ懐疑的であるというただそれだけをもって、いままでのシステム構築方法やシステム導入方法をそのまま継続することを肯定するのはどうかと思うのです。以下それについて述べます。


イントラネットというラストリゾート(誰にとって?)

クラウドコンピューティングだったりSaaSだったりがなかなか攻めあぐねている場所があります。それはイントラネットです。

特にSaaSは常にイントラネットに導入できるパッケージ製品と比較されます。あるいは自社で構築するシステムと比較されます。先ほどの話のとおり、顧客がイントラネット内で自らの資産でシステムを維持したい、あるいはやむをえずそうせざるを得ない、というケースは十分あります。

SalesforceがSaaSで成功しているのは、売っているものがそれだけで完結しており、既存システムと必ずしも関連する必要がなかったものだったからです。その場合は導入コストを考えればすぐにメリットが出ます。ただ、既存システムからの移行、あるいはインテグレーションを考えなければならなくなったとたん、あっという間にコストが跳ね上がり、あまりパッケージ導入と変わらなくなってしまう可能性があります。

クラウドあるいはSaaSとイントラネットの間のデータインテグレーションについて致命的に拙いところは、ファイアーウォール越えができないことです。ほぼ常にイントラネットからのポーリングになります。これはイントラネットですべてやる場合よりも複雑なシステム構成になりうることを示唆します。

既存のシステムとの連携を重要視する以上、まだまだイントラネットの中にシステムを構築する、あるいはパッケージ導入するということは、主流であります。それゆえ、既存のSIモデルおよびそこにかかる高いコストを正当化できる理由になっています。その当事者に、クラウドだ、SaaSだと声高に言われても、絵に描いた餅のようです。どんなにクラウドやSaaSがブレイクしても、まあそのあたりは安泰だろうという楽観があります。もしかしたらラストリゾートと言っていいのかもしれません。ただしかし、はたしてそのラストリゾートはいつまでたっても楽園なのでしょうか?


イントラネットを浸食するマッシュアップ

マッシュアップテクノロジー、ここではいわゆるクライアントサイドマッシュアップにフォーカスするのですが、実はこの構造を大きく動かす可能性があるものである、と見ています。

マッシュアップといえば、Google Maps API + XXX という組み合わせは、いつの間にかこの世に腐るほど出てきました。あまりに氾濫してしまっているので、この単一のイメージでマッシュアップが語られている気がして少々残念です。ただ、Google Mapsには地図としてのサービス以上に、アプリケーションアーキテクチャとして非常に示唆的な面があると考えます。これは単に地図データの配信、というだけでなく、アプリケーションコンテナの配信である、と見るべきです。

Google Maps API が革新的であったのは、どのWebページにもその地図機能を簡単に貼付けられるということでした。そして、地図上にその読み込んだ先のサイトが持っているデータを重ね合わせてプロット表示できるということでした。もちろん、Google Mapsはイントラネットの中にも配置でき、簡単にイントラネットのデータ(たとえば配送システムにある配送先の住所情報など)をプロットすることができます。(Google Mapsのエンタープライズライセンスの話は別)

Google Maps以前は、地図情報システムはパッケージなり地図データなりを買ってきて、そこにシステムをインストール&構築するものでした。(実際自分が昔所属していた会社でもやってました)。しかし、もはや今はそれはあまりないでしょう。すくなくともそれ単独で馬鹿高いコストをかける理由にはなり得ません。なぜならそこにもう安価かつ簡単にできる方法が見えているのだし、すぐに試すことだってできてしまうのですから。

こういった有用なアプリケーションがインターネットから配信されてくる。しかもそれがまったく導入の手間が要らない。そしてデータは別に既存のシステムのものをそのまま使ってよい。

現在、弊社ではこれをもう少し一般的にして、エンタープライズシステムの世界に起こそうとしています。今までのシステム構築の仕方を大きく変え得ます。そこにはインターネット/イントラネットの垣根は取り下げられ、Webの革新のスピードがそのまま波及していきます。われわれの言うマッシュアップは、ワークフローエンジンやデータ統合ツールをダウンサイズしたものではありません。かといってパブリック・インターネットの広い世界でとどまり続けて、まったく落ちてこないわけでもありません。マッシュアップそのものがクラウドからあなたの環境に降ってくる、のです。

まあ、正直これが書きたかっただけですが。
以上、長文失礼しました。

マッシュアップ

| コメント(0) | トラックバック(0)

弊社(株式会社マッシュマトリックス)は、名前から類推できるとおりマッシュアップを生業としてる会社であるのですけれども、いわゆるマッシュアップという言葉で想像できるような「地図 x ○○」とか、そういうWebサービスの会社じゃないし、そういったシステムを開発してお客さんに納入するような会社でもありません。

マッシュマトリックスは確かにマッシュアップを前面に押し出してはいるけれども、常にマッシュアップというよりももう少し広いことを考えていたいし、実際に考えています。

たとえば、マッシュアップは、そもそもWeb2.0の世界の中でユーザ・ジェネレーテッド・コンテンツと仲が良かったけれども、最近はその「ユーザによる生成」が「コンテンツ」を超えて、ロジック、アプリケーションにまで伸びてきた。これはインターネット普及以前からのテーマであったエンドユーザ・コンピューティングの系譜にあてはまっているように見えます。

一方、エンタープライズの世界でここ数年アーキテクチャの中心に語られているSOAは、EAなどの重厚な部分で語られることが中心であったのですが、マッシュアップのアジャイルな側面にフォーカスすることで新たなブランディングを得ようとしています。

このように、大きくざっくりした視点で眺めると、もはやマッシュアップはマッシュアップ単独で語るべきでない領域に膨らんでいると考えられます。


細部に入った視点も捨てることができません。今のWebの流れは、研究室や大企業のアーキテクトが作るのではなく、草の根で起こっています。見識ある技術者/パワーユーザは、Web自体が書き換え可能なプラットフォームになっていることを頭のみでなく体験的に知りつつあります。そしてそこで生まれる一つのhackが、いつの間にかWeb全体にスケールすることがあり得るのが今の時代です。

ボトムアップによる革新が、場合によってはヴィジョン・思想とむすびつき、Webを媒体として猛スピードでスケールする。これこそが「マッシュアップ的」なものの本質なのではないかとも思っています。

移店

| コメント(0) | トラックバック(0)

10月から青山一丁目に移り、はや1週間以上たちました。
ついでといってはなんですが、ブログもこっちでつくりはじめました。

技術交流会などで冨田をご存知の方は、はてなのsnippetsの方のブログについてもおそらくご存知かとおもいます。もちろんそちらも更新していきたいとおもっています。

2つのメディアを持つことになりますが、おそらくメッセージのアプローチ先は若干違うんじゃないかとおもっています。こちらは会社のブログであるため、弊社の製品/サービスの目指すものであったりビジネスの実際についてお話しできればと想っています。

弊社の他のひとたちのブログ:

なんというか、個性出てますね。